第3章 自覚し出す心
これからどうしようか、なんて考えながら玄関で靴を履く。すごく朝が憂鬱なのは、学秀との事があったからだ。
連絡したほうがいいのだろうか。
さすがに何も言わずに待ち合わせ場所に行かないのも気が引ける。
(なんて送ろう…)
絶対に浮かんでこないだろうと思っていた言葉は意外にもすぐに簡潔な形で脳内へ出てきた。
本当は書きたくなかった言葉。
だが気持ちを押し殺し、メッセージ画面を開くと、考えた言葉を綴る。
本当は一緒に行き帰りしたいのに。
どうして言えないんだろう?
そして私は、
学秀に嫌われることを・・・
怖がっているのだろうか。
そんな思いを抱えながら、私は真っ直ぐに本校舎とは別の旧校舎へ向かった。
ーー
「わからない人でもこれで大丈夫!簡単に解けちゃいますね〜」
今は3時限目。
どんなに気分が乗らなくても、授業はいつも通り進む。
学秀の事を思い出して、今日何回目かわからない溜め息が無意識に出る。
そんな花日を業は見ていた。
ふとすぐそばに違和感を感じて見ると、ノートの隅に「どうしたの?」と書かれていた。
・・・綺麗な字。
関係ないけど、そう思う。
書いたのは業さんだった。
「なんでもないよ」と書いて業の方に花日はノートを見せる。すると間を置かず、「あるでしょ」とまた綺麗な字で返ってくる。
容易く入り込んでくるところが、少しイラっときて「関係ないでしょ、ほっといて」と書いて集中しているかのように前を向いた。