第3章 自覚し出す心
《 学秀side 》
空が暗く、冷たい風が吹いている。
まるで学秀達のような状況だ。
彼女はまた下を向き、
顔を覆った。
「もうっ..やだ...こんな最初に..わがままっなんて」
違う、と言いたいのに言えない。
安心させてあげようと触れることもできない。
僕が、全ては踏み込むのを怖がっているせいだ。
「ごめん...もう、いい。」
花日の目からは涙が溢れている。それを見た学秀は胸が張り裂けそうな想いだった。
‘‘じゃあねっ”
目の前にあった影は遠ざかっていく。
歩いていく音はただ聞くだけ。
僕はその最後に言われた言葉を脳内で繰り返す他なかった。
ーー
何故、あんな事言ってしまったのだろうか。
きっとあの時何も言わなかったのは呆れていたか怒っていたかだと思う。
そう、今花日は後悔していた。
さっきまでいた隣の人。
いなくて...
やっぱり寂しいのは自分だけ。
(密かに、来てくれるかななんて思っちゃった)
私の存在は迷惑じゃないって。
証明して欲しくて。
わずかな期待を求めた先は、現実。
そんないろんな想いが自分の中を飛び交う中、一つ疑問に思うことがあった。
少し素っ気なくされたぐらいで、私は簡単に崩れていたっけ。
正直、そんなに弱くなかったはず。
じゃあ、どうして?
不満を漏らし、涙まで流して...
私はどうしてこんなに悲しいのか。
その頃の私は、どんなに考えても分からなかった。