第3章 自覚し出す心
《 学秀side 》
何も気にする事ではない。
いつもはそう思うかもしれない。
だが、気づいてしまっている。
赤羽はきっと..花日と、
帰ろうとしていた。
あいつは一体何がしたい?
「別にいいけど...」
(いや、良くない)
良くないけど...縛るのも違う気がする。そう思いながらも胸はざわついて落ち着かない。
「そう?でも、学秀も一緒に帰るけどね!」
「本当か?」
「うん。それって確認する事?」
なんて言いながら彼女は笑っている。
いや、と返事しながら少しホッとしてる自分がいた。
(まだ安心しきれないけど)
いつから僕はこんなに一つや二つのことで動揺したりするようになってしまったのだろうか。
我ながら呆れる。
だがこういうのは辞めたいと思っていても、厄介なもので出来ないみたいだ。
これも、花日が居なかったら知らなかったのかもしれない。
溜まりきった思いを吐くかのように、溜め息を吐く。
すると花日は学秀を歩きながらもずっと見ている。さすがに違和感を学秀は感じた。
何だ、と僕は聞く。
花日は不安げな顔をしながら口を開いた。
「私と行き帰りするのやっぱり嫌だったかなって。ほら...ずっと素っ気ないじゃん」
違う...そんなつもりじゃない。
勘違いされない為に、早く否定をしなければ。
「そんなわけっーー」
「本当に?」
花日は学秀が喋るのを遮った後、立ち止まり下を向く。学秀はただそれを唖然と見つめる。頭の中は真っ白だった。
「私といても、楽しそうじゃないよね...もしかして無理してくれてた?」
そう言って花日は顔を上げる。
瞳は悲しげに揺れていて、涙が浮かんでいる。