第3章 自覚し出す心
「花日、じゃあねー!」
「うん、また明日!」
授業が終わって、放課後になり皆続々と教室を出ていく。
私も学秀と指定された時間に待ち合わせしているため、それに間に合うべく急いで出ようとする。
鞄を持つと、突然声をかけられた。
「花日ちゃん、一緒に帰んない?」
低い落ち着いた声がした方に振り返ると、隣の席のカルマさんがいた。
鞄を机に置き、座っている。
なんで急に・・・?
また、カルマさんの思考がわからない。
「ごめん…他に帰る人いるんだけど、それでもよかったら――」
「じゃあ、いい」
「え?」
返事も待たず、返される。
少し不機嫌そうだった。
(どういうこと?)
全く意図が読めない。
他の人もいるっていうのが嫌ってこと?2人がいいってこと?
・・・なんで?
花日は何故誘われたのかわかっていなかった。
「で、誰なの?」
「…え」
聞かれると思わなくて、口ごもる。
学秀は...
友達?幼馴染?
私達の関係って。
何だっけ・・・
いや、でも。
昔からの縁ってやつだよね。
きっと、そうだと思う。
迷った末に、
幼馴染であることを言うことにした。
「うーん…幼馴染、かな?友達でもあるかも…」
私がそう言うと、彼は面白くなさそうに「ふーん」と返事をした。
そして、また言葉を紡ぐ。
「じゃあさ、いつか俺の先約とっといてよ」
「あっうん!わかった。」
”いつか”ってくるのかな。
なんてことを思う。
私がそう思っているうちに、カルマさんは席を立ちドアの前にいた。
「じゃあねー花日ちゃん」
「また明日!」
私は手を振り、時計を確認する。
もうすぐその待ち合わせの時間になる事を確認し、急いで帰る準備をした。