第3章 自覚し出す心
しばらく歩いて電車に乗り、本校舎と旧校舎は少し離れているため途中で別れた。
もう少し話したかったなあなんて思う。
1人で階段を登っていると渚が下から私の名前を呼び、追いついて隣に並んだ。
「おはよう、花日。今日早いね」
それを言われた瞬間、花日は気づいた。
(そっか!)
学秀は割と早めに学校へ行くタイプだし、さっきも歩くのが早いとかどうとか言ってたっけ。
ということはこれから学校へ来るのが早くなる。
そうなると、クラスのみんなと話せる時間が朝の内にできるのだ。
密かに学秀に感謝をしながら、今日から一緒に行き帰りすることになったことを話した。
「えっ?浅野君と?」
「そうなの!家近いから行けるんだ〜」
「じゃあ、これから一緒に帰れないかぁ...」
そういえば、と思い出した。
約束をしたってことは学秀以外と行ったり帰るのはしない方が良いって事?
いやいや、
ずっとって訳にもいかないだろうし。
なんだかんだ言って学秀は優しいからきっと許してくれるはず。
「いやあ...あの人もいろいろ忙しくて予定合わないこととかあるだろうし、そんな毎日ではないよ」
「そっか。でもさ、」
何をいうのかと思って歩いていた足を止める。
渚も少し私より歩いたところで止まり、こっちへ振り返った。
「浅野君がそういうのは許さないんじゃないかな?」
特に男には、と付け足す。
(え・・・?)
何で、と聞くとすぐに答えが返ってきた。
「こういうのは突っ込んじゃいけないから言いにくいけど、一応男として僕が一緒に花日と帰るのは気に入らないと思うよ」