第1章 始業の時
そんなE組にはみんな入りたくないのか、必死に相手を蹴落としてまで上に昇り詰めようとする。
それが、この椚ヶ丘中学だ。
「・・・どうしてそんなにひどいことを言うの?」
「僕はそんなこと言った覚えないけどな。」
本当に。
学秀は変わってしまった。
一体なんで・・・。
そう考えているうちに、下校の時間になった。
トイレに寄っていたので、少し遅くなってしまった。
帰ろう、と思った時、私はある生徒がいじめをしているところを見てしまった。
びっくりしたけれど、落ち着いてその場の近くの壁に寄りかかる。
いじめられている人は…
(渚!?)
男子生徒が数人で背が小さい渚を囲んでいる。喋り声が聞こえたので、耳をすませた。
「お前、あのE組になったんだってな?」
「....」
渚は唇を噛み、下を向いている。
渚も大事な私の幼馴染で、小さい頃はよく近所同士なので遊んでいた。中学に上がってからはクラスも違って話すことはほとんどなくなったけれど。
いても経ってもいられなくなり、思わず出て、声をあげた。
「やめてよっ!」
渚と男子生徒はこちらに気づき、私に一斉に視線を向けた。
「天野じゃねーか。そんな声出すほどでもないって。だって、E組の渚だぜ?」
その言葉に渚の方を見ると、渚は再度下を向き、表情を曇らせていた。