第2章 新しい教室、改めて新たな出会い
《 業 side 》
「花日ちゃん...」
目の前にいる彼女の名前を呟く。
自分が驚いていることに否定はできなかった。
こんなに心配された事は、
あっただろうか?
こんなに怒ってくれた人は、
いただろうか?
成績とか利益とかじゃなくて、俺自身を。
それに、出会って日にちもあまり経っていない。
何より・・・
花日ちゃんの前で喧嘩をした事だってある。
普通は、強いって思われるんじゃないのか?
わからない。
こんな事は初めてで。
頭の中が混乱していて、どうしたいかわからなかったけれど、俺はある衝動にかられる。
それをよそに、彼女はカルマさんなんてよそよそしい呼び方をしながら首を傾げている。
(なんだこの・・・)
愛らしい姿は。
理性は一瞬にして吹き飛んだ。
「えっ?」
すぐ下から聞こえる声。
「ごめん...もうちょっとだけ許して」
俺は・・・
彼女の手を掴み引き寄せ、
自分の腕の中に入れていた。
今は、ここまで留めるのが精一杯。
俺の理性はこんなに弱いものだったのか?
それを考えると同時に、華奢な体だなとか良い香りがするとかそんな事も考える。
さすがにこれ以上やったら残り少ない理性が飛んで行ってしまいそうなので花日ちゃんから離れた。
「えっと...どうしたの?」
こんな時も俺を心配してくれる。
優しさを感じ心が締め付けられる。
「何でもないから気にしないでよ」
「そっか...」
納得いってない様子だ。
そんなところも可愛いなんて思ってしまう。
きっと今日が俺にとって、
花日ちゃんが
『特別』に変わった日だ。