第1章 始業の時
(まただ...)
いつものことだけれど、やっぱり納得がいかない。
そんな私の想いを無視して、式は終わった。
(なんでいつもあんな風になるの?)
教室に戻り、椅子に座ってもさっきの光景が浮かんでくる。
私が考え事をしていると、学秀がきた。
この人は、浅野学秀。
学秀は私の幼馴染だ。
頭も良いし、何をやってもできる。
そのうえ、女子には人気。
頼りにされていて、それを証拠に生徒会長だ。
おまけにお父さんはこの椚ヶ丘中の理事長。
はっきり言って、全く非の打ちどころがない。
そんな彼と今も同じ中学なのは、腐れ縁…というやつなのだろう。おそらく。
「花日は今年もA組か。あのエンドのE組じゃなくてよかったな?」
学秀も、なのか。
昔は学秀だってそんなこと言わなかったはずなのに...
学秀の言う、"エンドのE組"は教師や他の生徒から激しい差別を受けているクラスだ。
テストで順位の下の方の人や、問題を起こした生徒が行くらしい。
そしてその差別は酷すぎるもので、E組だけ本校舎から隔離されている。
行ったことはないけれど、古い木造校舎らしくて、先生が言うには他の生徒に悪い影響が及ばないよう、というくだらない建前だ。
他にもE組だけ、違うところがたくさんある。