第2章 新しい教室、改めて新たな出会い
(なんとなくって...)
学秀は普段弱みを見せない。
そんな学秀がその場しのぎの"なんとなく"という言葉を使うと思わなかった。
私にも普段言わないから、きっと学校では言ってないと思う。
幼馴染の私だけが知ってると思うと嬉しくなった。
「そういえばもうすぐ中間テストだね」
『そうだな』
「どうせまた学年1位とるんでしょー?」
冗談めかして明るく話す。
その途中であることに気がついた。
(あっ...でも)
「でも、カルマさんもいるよね...」
『あいつがいようと変わらない。僕は負けない。頂点に立つものはいつでも一番じゃなきゃいけない』
(相変わらず、学秀はぶれないなぁ)
面白くてふふっと笑うとなんだ、という声が携帯から聞こえてくる。
その後、もう寝るから切ると伝え、電話するのをやめた。
スマホを机の上に置き、寝る準備を整える。
終えて、寝ようとベッドに入ろうとすると棚から分厚い本が落ちた。
棚の方へ行き表紙を見ると、小学校の卒業アルバムだった。
(懐かしいなぁ...)
少しだけ、と表紙を開いてみると1つの大きな写真が見えた。
学年での卒業記念に撮ったものだ。
全員の顔を懐かしむように見ていると、学秀が写っていた。
学秀を見ると...
他のみんなは笑っているのに、なんだか1人だけ表情が硬い。身に纏っている雰囲気なんかも違う。
笑い方を知らないんだか、笑いたくないんだか。
そんな学秀を見て微笑ましく思った。