第1章 始業の時
お母さんの急ぎなさい、という声が聞こえたが、聞く耳も持たずひたすら髪を結ぶことに集中する。
今日は大事な始業式だ。
いつもと違う自分の髪型が、整っているか確認し、椅子においてあるブレザーを見にまとう。
(よし!これでOK!)
時計を見て、やっと私は急ぎ出し、朝ごはんを食べ家を出た。
春の温かい風に包まれながら、学校へ向かう。
通学路を歩いている途中、満開に咲き誇る桜の花に目を向けた。
(もう、4月だもんね)
改めて実感しながら、通学路を歩いていった。
通学路をある程度歩いたところで、門の前に着く。
この立派な校舎は、椚ヶ丘中学校といって名門校だ。
私は今日からその椚ヶ丘中の3年A組になる。
幾度となく見た校庭を眺めながら、正面玄関にある下駄箱へ向かった。
体育館へ入場して数分経った後、式は始まった。
あたりは静粛な雰囲気に包まれている。
(毎回なんだか緊張しちゃうな..)
式もある程度進んだところで、先生の話に入る。
先生が話していることは、先生とは思えないような内容だった。
「入学して早々ですが、しっかりと予習、復習しなくちゃどこかの誰かさんみたいな落ちこぼれのクラスに入ることになりますよ〜?」
先生は、端の生徒たちの方を見下すように見て笑った。
その直後、一斉に会場にいるみんなは嘲笑うかのようにして笑っている。