第1章 始業の時
《 学秀 side 》
考えていると花日は、言葉を紡ぎ始めた。
「今回私がE組にいくのってね、きっと私に厄介事があるからなんじゃないかって思う。」
「厄介事?」
「理事長はたぶんだけど、私の考え方に気付いてる。それを捻じ伏せるために、E組にいかせるんじゃないかって考えたの」
そうか。
花日はあの差別のことをよく思っていなかった。
それを証拠にこの間、本校舎の生徒が行っていたE組に対する行為を止めていたんだっけ。
あの光景を知っていたかはわからないが、あのことから花日は教育方針に相応しくない、と判断したのだろうか。
こいつも同じE組の境遇に立ち、そんな戯言を言ってるのは間違いだったとわからせたいに違いない。
「でもだからって、なんで素直に行くってことになるんだよ?」
「それでも私が堂々としていたら、あの理事長の邪魔ができるじゃない?それに、E組の人にはわかってほしいの。間違ったことはしていないんだから、下を向くなって。」
それを聞いて、反応に困ってしまう。
なんて言えばいい?
結局わからず、そうかと返した。
そして花日は、さっきまでの雰囲気をからっと変えて笑った。
「まぁ、学秀は私のこと嫌いだもんね!いなくなって嬉しいんじゃないのー?」
「…ああ。静かになるな。」
自分は素直じゃない。
本当は嫌なのに。
嫌って言えないのかよ、僕は。
「言うと思った!お望み通り消えてやりますよ~」
冗談を言う花日に、遠回しには言う。
まあ、伝わるとは思えないけど。