第1章 始業の時
《 学秀 side 》
急いで下駄箱に行き靴を履き替え、いつも花日が行っている道へ行く。
まだそこまで遠くへは行ってないはず。
しばらく行くと見慣れた華奢な背中が見えて、そのひとの隣で走るのをやめた。
「あれ、学秀?」
「そうだけど。偶然お前が見えたから一緒に帰ろうと思って来ただけ。」
なんでこんなことしか言えないのか。
「そうだったんだ。でも残念だね〜。明日からもう帰れない...」
(E組行きを言っているのか?)
きっとそういう意味だろう。
「…ああ、花日、明日からE組に行くんだろ」
「...知ってたの」
僕が言ったことを気にしてるのか下を向き表情を曇らせている。
「なんでお前が?」
単純に気になるんじゃなく、何で花日がそんなE組に行くようなことをしたのか気になる。
そして、なんだか腑に落ちない。
僕が聞いたことに対して詳しく答えてくれた。
それからその話を聞いた時、納得いかない気持ちがさらに高まる。
「誰も、悪くないのにね...?」
「じゃあ、僕が理事長に話をつけてみる。」
「いいって。」
まさか断られると思わなかった。
どういうつもりなのかと思わず花日の顔を見る。
なんだろう。
特に嫌そうな顔はしていなかった。
なぜだ?
あそこに行けば、酷い扱いが待っているといいのに。
こいつは一体何を考えている?