第1章 始業の時
《 学秀 side 》
理事長は、棚から書類を取り出し1枚の紙をとった。
そこには『天野花日』という名前と、その生徒に関する情報が書いてある。
「成績はずっと学年2位・・・良い人材だが、それ以外に難がありそうだな。」
冷たい目と表情をし、ぽつりと呟いた。
花日が出ていってから静かだった部屋にノックが入る。
理事長はそれに気づきドアの方へ体を向け、どうぞと促した。
「失礼します、理事長。」
「君か、浅野君。」
「あの天野花日がE組行きとはどういうことですか?さっきそこで聞いてしまいました。」
気になって聞いてみた。
(まあ、この人が素直に言うはずないけど)
「それを聞いて、君はどうするのかな?」
不意に聞き返され、少し言葉に詰まる。
だが、言葉を並べるのは簡単だ。
「特に?僕の次に頭のいい彼女が、一体何をしたのか気になりましてね?」
目の前の父と同じように、作り笑いを浮かべた。
すると、僕のように言葉を並べ、君には関係ないことだ、とはぶらかしてくる。
いつもそうだ。
「まあいいですよ。いずれ知ることができますから。」
それじゃあ失礼します、とその場を後にした。
さて、あいつの所に行ってやるか。
何があったのとか知りたいんじゃなくて、ただあいつと話したかったのか僕の足は自然と早まった。