第1章 始業の時
私が3年生に進級し、桜の花が緑に変わったころ。
受験生という立場と、この学校でよくあるプレッシャーにやっと慣れ出した時、学校生活がある出来事でがらりと変わった。
「明日から、君はE組に行ってもらう。」
落ち着いた様子で話している目の前にいる人は・・・
この学校を支配している理事長。
帰りの準備をしていた時に放送で呼ばれ、広々とした理事長室の真ん中に立っていた。
「心を改められるよう、しばらくE組に行きなさい。」
「...そうですか。」
特に嫌がる素振りを見せることなく無愛想に返事をする。
普通の人ならすがりついてでも拒むところだが、私は嫌じゃない。
私は自分が悪いことをしたなんて思っていないから。
それは、彼だって同じだ。
でもそれは、理事長にとってこの学校の教育方針に合わない。
だから、私を追い出すつもりなんだと思う。
理事長が私を厄介に感じたのは、きっとあの日の出来事が原因だ。
心が今でも痛い。
あの時の光景を思い出すと。
鮮明に覚えているあの記憶が、頭の中に蘇ったーー。
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赤い髪の彼と初めて話した始業式以来・・・
私達はまた別の形で会った。
だがそれは__
いい思い出、とは到底言えるものではない場面だった。