第1章 始業の時
《 業 side 》
停学をくらい、家にいてもとりあえず暇なので外にいる。
好物のいちごオレジュースを持ってそこにいるとーー
先ほど渚くんといた女を見つけた。
あの時言われたことを気にしているのだろうか。
明らかにこっちに気づいているのは、不動不審な行動でバレバレだった。
そのまま通り過ぎようとしていることがもろにわかるぐらい、不自然な歩きだ。
(ちょっと声かけてみるか)
何故かはわからないが、かけてみる。
とぼけたふりをして。
「あれ、さっきの?」
俺がそう言うと、ビクッと肩を上げて大袈裟な反応をする。
(面白い反応するな、この子)
「あーえっと...」
バツが悪そうな顔をして、しどろもどろになっている。
何か言葉を紡ごうとしてるんだろうけど、浮かんでこないのかもしれない。
ふと、浮かんできたことを聞いてみる。
本当なら、家が近いのかもしれない。
そう思いながら。
「家こっちなんだー?」
「う、うん」
元気のない返事を聞いて、感じる。
なんだろう。
何か気に入らない。
この子が俺を怖がっている?ということがだろうか。
だから、本校舎のやつは嫌いなんだ。
不快に感じるところを抑えながら、俺は何気ないふりをして尋ねる。
「あっれ、さっきのこと気にしちゃってる?」
と、聞くと無言が返ってきた。
それが答えを表しているようだ。