第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
結局クレープまでもお金を払ってもらってしまった。本当に悪いと思いながらも、店員さんから受け取ったクレープを眺める。
イチゴはもちろん、細かく切られたバナナなども入っていて、その下には定番のクリームがたくさんついている。そして何と言っても、期間限定なだけあって小さいチーズケーキが乗っている。
こんなクレープはあまり食べたことがない。
一緒についていた小さいスプーンでチーズケーキをつつきながら、その辺の椅子に座る。
「そんなに好きなの?」
「うん...そうだけど、やっぱ払ってもらっちゃったんだし私はいいよ」
「いーって。そんな顔してる人から取るほど俺悪魔じゃないから」
そんなって...ただ嬉しがっていただけだが、すごい顔をしていたのだろうか。
内心疑問に思いながらも、せめてもの提案をしてみる。
「せめて、一緒に食べない?」
「んーいいよ。甘いの苦手だし」
「そっか」と返事をして、クレープを一口食べる。苦手ならばしょうがない。
イチゴの甘酸っぱさとクリームの甘さを感じる。やっぱり美味しい。
「ん〜!美味しい!食べないともったいないよ!?」
「へえ...そっか。じゃあちょっとだけ」
私は持っていたクレープを差し出す。するとそれを受け取りはせず、私の口元へと手を伸ばした。
どうやら...口元にクリームがついていたらしい。
それをとったみたいで、クリームがついた指をペロッと舐めた。
「あっま」