第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
それからは何とか出口まで行けた気がする。さっきより...無性に安心したからだろう。
(けれど...やっぱり嫌だったなぁ)
それは変わらない。これから先きっと二度と入らないと思う。お化け屋敷には。
終始余裕だった業さんが私に言う。
「花日ちゃん、マジでビビリなんだね」
「だから嫌だって言ったじゃん〜!」
「ごめんねー冗談だと思って」
この人は間違いなく私をからかっていたんだなと今になってからやっと気付く。が、入るのは嫌だったのはそうだ。けれど、入らされた事に関しては特に嫌だと思わなかった。
「じゃあ...お詫びにあそこのクレープ食べたいから、買って」
なんて言うのは冗談。
食べたい事には変わりないけど、奢ってもらおうなんて考えてない。
けれど、散々振り回されたのだ。
何と言うのか知りたかった。
「いいよ〜あの高いやつでも」
「ええ!?」
困るところが見たかったのに、
何故かあっさり頷かれてしまった。
これでは言った意味がない。
「...はぁ...違うよ、冗談。自分で払うよ...」
「ちなみに何にすんの?」
「あの、イチゴがいっぱい乗った期間限定のやつにする〜」
と私が答えると、並び終えた後すぐ先ほど言ったクレープの名前を言い、お金を出して頼んでしまった。
私が驚いているのを見て、「そんぐらい甘えなよ」と言って笑う。
その言葉に、その笑顔に何だか調子が狂うような心地がしたのは何故だろうか。