第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
叫びすぎて声が枯れそうだ。
精神的にもかなりきつい。
そこらじゅうから物が落ちてきたり、たまには苦しむ声が聞こえたりなど驚くことばかりだ。
業さんに至っては何が起きても無反応で逆に怖いと思えてしまう。
「こ、怖くないの?」
「別にー」
そして私は、ハードルが高いなんて先程思いながらも、それを思う余裕がなく現在は大胆に抱きついてしまっている。
そこら辺のカップルよりもすごいかもしれない。
「ご、ごめんね...こんな張り付いて」
と私が言ったと同時に「見つけた」というか細い声が聞こえてきた。声のした方をみると、1人がこっちの方へ向かってきている。
これはきっと...さっきの。
そう思った瞬間...耐えきれなく、思考が停止していた私は思わず業さんを置いて逃げてしまったのだった。
「ちょっ!?花日ちゃん!?」
そんな声も聞こえなくなるほど遠くに行っていた。が、すぐに腕を掴まれた。
それがお化けだと無意識に認識した私は「嫌!」と言ってしまい、腕を振りほどいた。
「俺だよ!落ち着いて」
声でやっと気づき、振り返る。
業さんだった。
改めて今頃、業さんを置いていった上に今も嫌がってしまったのだと気づいた。
「ご、ごめん!怖かったの...」
「‥‥俺も無理強いさせて...その、ごめん。とりあえず安心するまでこうしとくか」
そう言って、私の手をとった。
やっぱり、優しい。
私を安心させるために、ここまでしてくれるなんて。