第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
廃病院、というだけあって設備はリアルだ。入った最初の所は見た感じだと、受付だろう。
その辺に椅子が転がっていたり、ゴミが落ちていたりする。そして、古びたナースステーションもある。
こうして様子を見ながら歩いていたが、今のところはなんの音沙汰もなしだ。
案外大丈夫なのか、と思った矢先、受付の方から着信音が聞こえてきた。
プルルルッとずっと鳴っている。
彼ならとるかもしれない。そう思い、隣を見ると「出ようよ」なんて言う。やっぱりだ。
「絶対嫌な予感しかしないって...やめよう!?」
「まーまー面白いじゃん」
そう言って電話が鳴ったナースステーションの方へ業さんが向かうので私も仕方なくついて行くことにした。
電話をとったが、それから何も業さんは何も言わない。不安になり、「ねえ」と言い袖を引っ張る。
しばらくして、受話器を業さんは置いた。
「なんか...言ってた?」
「昔ここに手術に失敗した子がいて...その子が身体を探してるとかどうとからしいよ。で、見つかんないようにしなきゃいけないんだって」
「え...!?」
「大丈夫。死にやしないって」
その話を聞いて更に不安になってきた。
今すぐリタイヤしたいぐらいだ。
「さーて。進もうかね」
「...わかった」
やっぱり行かなきゃ駄目らしい。
私はさっきより強く業さんの袖を掴んだ。