第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
「ど、どうかな!?」
業さんが口に含むのをみて、感想を聞いてみる。
母に言われた通りの食材と材料を使ってみたけれど、やっぱり自分の腕前では自信が持てない。
「うまい。料理得意?」
「...全然得意じゃないよ」
何はともあれ無事に終わったのはよかった。粗末なのは渡したくない。
一応自分も一口かじってみた。
(‥‥辛くない?)
少しの違和感を感じた後、それは確信に思えた。口の中に刺激が広がる。
「か、辛い!」
「そう?たまたまそれだけ辛かったのかもよ」
なんてすました顔で言っているから、本当なのかと思ったけれどそれは違った。
彼は何気なく食べていたが、その他のサンドイッチもとんでもなく辛い。
何よりマヨネーズを入れて作れと言われていたはずなのに、何故か辛子を多めに入れてしまっていた事を思い出したのだ。
もしかして辛い物好き?
それか‥‥気を遣ってくれている?
美味しいと言った理由を知りたくて、「辛いものが好きなの?」と聞いてみた。
「うん、まあ好きだよ」
「そうなんだ...」
口では好きだよ、と言っているけれど本当は違うかもしれない。なんとなくだが彼の普段の姿からそう思える。
これでは聞いた意味はないかもしれないが、そう確信付けた。
もし‥‥私の予想が当たっているならば。
お世辞で美味しいと言ってくれたのかもしれない。実はとても優しい人なのだと思ったーー。