第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
「‥‥え?乗るの?これに?」
「嫌?」
今見上げているのはこの遊園地で最も有名な、ジェットコースター。テレビでも紹介されていたような所で「絶叫」をコンセプトにしている。
普通なら有名だったら乗ってみたいと思うのかもしれない。だが、私は苦手だ。
正直乗るのは気が進まない。
「私ここで待ってるよ!苦手なの」
「ふーん...苦手なんだ」
がっかりさせちゃったかな。
でも、人の好き嫌いはそれぞれだと思う。
業さんならわかってくれると思った。が、それは甘かったのだ。
「じゃあ克服しよ!」
と言いジェットコースターに乗れる順番の列に私を引っ張り歩き出す。
克服って‥‥普通はここで「じゃあしょうがない」じゃないのだろうか。
「えぇー!?無理だって!」
「んー聞こえないなぁ」
業さんって‥‥ドSかもしれない。
悪戯に笑っている所を見る限り、相当だ。
ーーその後。
私が怖がっている間にも、どんどん列は進んでいき。自分の意思は無関係に乗せられ、私は今ジェットコースターが坂を登っているところにいる。
(本当に無理だって!)
そう思っている間にも頂上へ確実に昇っている。隣の自分を乗せた張本人を見ると、なんでもなさそうな顔をしている。
その視線に気づいた業さんはこっちを向くと、
「花日ちゃん、もうすぐだね〜」
と私の焦りとは違い呑気に言う。