第4章 〈番外編〉君と過ごす1日
ーー
人が多く行き来している事にも気にせず、駅の中を走る。もう約束の時間には数分すぎているのに、遅れてしまった。
だいぶ疲れているが、それは関係ない。
まさか待たせてしまうなんて。
私達の待ち合わせ場所は椚ヶ丘駅だ。
そして時間は10時。
昼ご飯の前という事だったので何かお弁当を作ろうかと考えた。が、やはりいつもの不器用さがありサンドイッチだけでも作るのが遅くなってしまった。
現在は10時4分あたり。
走った末、やっと着いた。
「はぁっ...はぁ..ご、めん」
「いーけど...大丈夫?」
結構走ったので答えられる余裕もなかったが、せめてうんうんと頷いた。
業さんは私の調子を伺ったきり、息が整うのを待っているのか何も言わない。
それに甘えしばらく自分も黙って息が落ち着く事を待った。
やっと私が回復したのを察してか業さんは口を開いた。
「そんな急がなくてもいいけど」
「だって、悪いと思ったんだもん...」
「とにかく、次はいいから。じゃあ、行こっか。」
そう言い、業さんは歩いて行ったので私も同じ方向へ着いていった。
ーー
それから遊園地に近い市に電車で行き、着いて降りる。業さんによると、もう少し歩かなければならないらしい。
「花日ちゃん、歩いてて疲れない?」
「全然大丈夫だよ!」
遊園地はどうやら少し坂を登ったところにあるらしい。普通なら疲れてしまうが、体力には自信がある。
ただ...今日は新しい靴で来てしまった。余計な心配だが、靴擦れになるかもしれない。
(足手まといになるのは嫌だな)