第10章 私の恋人は魔王☆
ホテルの係の者が車を回して来ると、真っ赤なスポーツカーに2人は乗りあっという間にホテルから遠ざかった。
スポーツカータイプの車を改造してもらい、オープンカーとしても乗れるようにとしてもらい、信長は天気のいい日はいつも上を開けて、大きなサングラスを掛け、音楽を掛けて運転していた。歌恋もその姿がとても好きで、最近ではお揃いのサングラスを掛けてドライブを楽しんでいた。
しばらく運転すると、海が見えてきた。
「わぁ!海だ!すごい!綺麗!」
信長「さ、着いたぞ。今日の目的地にな。」
9月の終わりで海水浴客はおらず、ひっそりと静まり返った海に来た二人。
「すごーい!砂浜が白いし、海も綺麗!」
「信長様行きましょう!」
手を繋ぎ、信長を引っ張るように階段を降りようとすると・・・
信長「そんなに焦るな…転ぶぞ!」
「早く行きましょ・・・あっ・・・!」
―トスンー
信長「ほらな。」
「そう・・・ですね・・・//」
ヒールで走り出し、足場の悪い岩の階段の隙間に足を取られ転びそうになった。
その瞬間腕をぐいっと引っ張り、信長はしっかりと自分の中に抱きとめた。
(信長様の中あったかい・・・。)
信長「全く、危なっかしい奴だ・・・。」
「あり・・・がとう・・・ございます・・・」
信長「浜辺に降りずにこのまま車に戻るか?」
信長はニヤリと笑いながらも、危なっかしいそんな姿ですら可愛いくてたまらないのだった。
信長の胸から離れ、手を繋ぎ階段を降りると、歌恋はヒールを脱ぎ、素足になり砂浜を歩いていた。
時々押し寄せる波に足元を取られそうになりながら、はしゃぐその姿を、とても愛おしそうに、幸せを噛み締めながら信長は後ろでスーツのパンツのポケットに手を入れて見つめていた。