第8章 明智光秀 生誕祭~満月に願いをこめて~
それから数日後―
光秀の誕生日の夜は安土城で誕生日祝の宴が今年も開かれることになり、歌恋は光秀の着物の仕立てと、自分の着物の仕立てとで時間の間を見ては政宗と料理の打ち合わせをしていた。
「今年こそは一つ一つの食材を味わって食べて欲しいけどな…」
「まぁそれはかなり厳しいだろうな・・・。三成の人参並にな・・・」
政宗は笑いながら紙に後数日後に控える光秀の宴の献立を書いていった。
しばらくして・・・
「良し、献立決まった事だし、買い出し行くが着いてくるか?」
「うん!」
それから二人で城下に買出しに行き、帰り道のこと。
「歌恋疲れただろ。そこで休憩して行くか?」
そこは前に誘われた時に行きたかったが我慢したお茶屋だった。
「そうだね!お団子食べたいなー」
「おぉ?今日は乗り気か?」
「まぁ・・・それより早く行こ!」
二人はお団子と、お茶をそれぞれ頼み外の腰掛けに座りながら食べていた。
「んー!美味しい!」
「どうしたんだ?そんなに美味いか?」
「だって・・・しばらくここのお団子もお茶も我慢してたから。」
政宗に訳を話すと政宗は優しく頭をぽんと置き撫でた。
「お前は本当可愛い奴だなー。光秀には勿体無いくらいだ。」
「だが、心配する事無いぜ?あいつは歌恋のおかげで人間味が出たって秀吉が喜んでたからな!」
「本当・・・?」
「あぁ、光秀もお前に夢中だしな。まぁ、なんかあれば俺は奥州青葉城へ攫ってく。」
政宗が歌恋の髪の毛をくしゃくしゃにしてるとー
「それは困るな…。」
「光秀さん!」
「ほら、迎えだ!俺は先に帰るから、夕餉までには帰ってこいよー」
政宗はそう言うと歩きだし、後ろの歌恋達に手を振り安土の人混みに消えていった。
「政宗となんの話をしていたんだ?」
「えっ・・・、別に光秀さんの誕生日祝の宴の献立の話をしていただけですよ・・・?」
(光秀さんにはあのおまじないの事は知られたくないし・・・。)
「ふーん、まぁ良い。さっ帰るぞ。」
「えっ、はい!」
夕焼けを見ながら手を繋ぎ安土城へ向かって歩いて帰った。