第5章 短冊に込めた願い~政宗編~
「いもうとをください。」
そう娘の短冊には書かれていた。
「いもうとをくださいかぁ・・・。参ったなぁ…」
政宗は額に手を付けて、頭を抱えた。
「歌恋。俺はもちろん結唯のその願いを叶えてやりたい」
「だけど・・・」
三年近く前。歌恋は高熱が続いた事によって一時的に生死の境をさ迷い、医者からは心ノ臓に負担がかからないように言われていた。
もちろん一年前の宗唯の出産の時もかなり危険な状態まで行った為、政宗は不安になっていた。
「私もね…そのお願いを聞いた時には一瞬『どうしよう・・・』って思ったけど、家康から双子とかじゃなければ大丈夫って言われたし!」
定期的に家康に青葉城に来てもらったり、安土城に行ったりした時に診てもらっていた。
「それに・・・双子が出来る確率なんて極希じゃん?」
「だから、結唯のお願い叶えてあげたい…かな…って///」
「歌恋・・・」
「俺は結唯も、宗唯も失いたくないが、お前を失う事が一番怖い。」
「だけど、歌恋がそう言うなら俺も結唯の願いは叶えてやりたい。」
去年の七夕は宗唯の出産で側にいてあげられず、二年前はまだ体調が完全に戻ってないからと一緒に飾り付けをしたり出来ず寂しい思いをさせてしまったと申し訳なく思っていた。
「私も・・・結唯の願いごとなら叶えてあげたいと思うの・・・・」
「だから・・・ね?///」
そう言う妻の瞳は潤んでいて、政宗にとってはとてつもない破壊力をもった瞳で、仕事も切り上げ歌恋を横抱きにし、自分達の褥に向かった。
「わっ!?政宗・・・!」
「お前が煽ったんだからな…」