第4章 短冊に込めた願い~三成編~(微裏)
歌恋が文を書いてから2日後。三成の元へと文が届いた。
まだ字を習い始めたばかりの時は書くのもやっとのこと。
それが今ではそれなりに形になり、すぐに返事が届くようになり三成自身も励みになっていた。
「歌恋様…また字の勉強を頑張っていたのですね。」
手紙を見つめて告白した時の光景が、蘇った。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
〈三成目線〉
春、桜の季節。
安土城に来てまもなく一年近くなる頃。
城から少し離れた小高い丘に立派な桜並木があり、そこでお花見をすることになった。
桜の下で、桜の木を元に仕立てられた着物を着た彼女は誰が見ても美しかった。
こちらに来たばかりの頃からお世話係として、側にいることが多く、様々な顔を拝見させていただきました。
美しく、花のようなお姿、時より見せられるあのなんとも言えない花が咲いたような笑顔。
その一つ一つに私は惹かれていきました。
今までに感じたことのない熱ぽい気持ち。
書物を幾ら読み漁ってもそれは書いておらず、秀吉様に『それは恋だな。』と教えて頂き、ようやく気付きました…。
『歌恋様、私は貴女の事をお慕いしております。貴女が笑って下さるなら私はどんな事でもいたしましょう…。』
今まで色々な姫君が、私に愛の告白をされてきましたが、そんな気持ちになったことは無く、『きっと貴女の事を花のように愛でて下さる方がいらっしゃいますよ』とお断りしてきましたが…、
まさか、私がこのような気持ちになるなんて・・・
『歌恋様、待っていてくださいね。貴女にお伝えしたい事が沢山ありますので・・・。』
ふと、文が入っていた紙に短冊が入っているのを見つけた。
『私の短冊のお願いも、流れ星に一緒にお願いしておいてください。』そう一言添えられていた。
【どうか三成くんと少しでも長く一緒にいられますように。】
その短冊をそっと懐へとしまい、まだ会えぬ恋人と夢でも逢えれば・・・と願い三成は眠りについた。