第19章 ~淡き恋心とFaint memory~【徳川家康生誕祭】
次の日
「おはよう……」
「おはよう。行こうか。」
「うん……。」
昨日の夜の事があって少し緊張しながらも朝早くに安土城を後にし、安土から少し離れた里山の中へと入っていった。
信長目線―
家康から二人で誕生日を過ごしたいと言ってきたのは誕生日のひと月ちょっと前。
前回はまだ恋仲になったばかりだからと許可を出さなかった。
それを聞いた歌恋は怒り、俺に対してしばらく口を聞かなかった。
さすがにそれは応えたがな……。
『お兄様なんてダイキライ!!』
そんな事を言われたらな……
その後波夢に少しは寛容になったらと諭され、ある程度は目をつむってきた。
今回は家康の誕生日だからというのと、ある事をいわれ、それ言われたら許可を出さない訳にも行かず……。
「ふふ、今回は許してあげたんですね。」
「あぁ、さすがにな。」
「きっと歌恋ちゃんも喜びますよ。」
「……」
まるで娘を取られた父親のような面持ちだな。
「今夜は月が綺麗ですね。」
そんなやり取りをその晩は波夢として過ごしたのだった
……。