第19章 ~淡き恋心とFaint memory~【徳川家康生誕祭】
そしてしばらくして晴れ着に着替えた面々が集まり、1日早い誕生日の宴が開始された。
『家康、誕生日おめでとう。乾杯』
「カンパーイ!」
信長の号令で宴が始まり、それぞれから誕生日祝いの贈り物を貰い、歌恋からは例のお守りを渡された。
「これ……、私から……」
「おっ、歌恋の贈り物はなんだ?」
「政宗さん、揶揄うのやめてください。」
家康が眉間に皺を寄せながらも、内心は浮き立ちながら、布に包まれた小さな浅い木箱を開けた。
「これ、お守り……」
「うん……、波夢ちゃん程は綺麗に出来ないけど……。」
「歌恋ちゃん頑張ったんだよ!このひと月家康の為にってひと針ひと針入れた……」
「わぁわぁわぁ……!もういいよ……それは……///」
「それで指傷だらけだったの?」
「うん……、だって初めてだったから上手くできなくて……」
「それと、この茶碗蒸し、歌恋が作ったんだぞ。人参も家紋に見立てて……」
「も、もももういいって!二人とも……恥ずかしいってば……」
(あぁーもう、なんて可愛いんだろうこのコは……。
俺のためにと自分の手が傷だらけになって、慣れないな針や料理をして……。可愛い過ぎるし……。)
「あ、ありがとう……」
「うん……//」
口に手を宛て、嬉しさをひた隠しにするも出てくる言葉は素直になれず……
でも、それを家康なりの精一杯の伝えた方だというのは広間にいる誰もが分かっていた事だった。
宴のあと……
「これ、ありがとう、あと料理も。」
「うん……。喜んでくれたならよかった……。」
部屋まで送ると二人で廊下をゆっくりと歩く……
まるで部屋中着くのが惜しい、この時間をもっと、あわよくば止まればいいのに……とすら二人で思っていた。
そう思うもあっという間に部屋の前に着いてしまい……
「明日、朝迎えに行く。」
「うん、わかった。」
俯く歌恋の顔を覗き込んで顔が近づき……
「……んっ……?!」
(今、家康から……)
「おやすみ……」
「……お、や……す、み……」
家康から不意打ちの口付けにしかも、初めての唇への口付けに戸惑い、言葉が上手く繋げずに片言になってしまいその夜は別れた。