第19章 ~淡き恋心とFaint memory~【徳川家康生誕祭】
それからしばらく経ち……
家康の誕生日数日前
「出来たー!!」
「うん。上出来だよ!お疲れ様。」
「本当に波夢ちゃんのおかげだよ!ありがとう!」
「ううん、本当によく頑張って作ったと思うよ?きっと家康も喜んでくれるよ!」
手のひらサイズにの辛子色の生地に葵紋の刺繍が施され、紐には市を見に行った時のあの石を通した。
この数週間、何日かに1日は波夢の元に通い、教えて貰いながらひと針ひと針刺して行った。はじめは上手く行かずに自分の指を刺したりしていたが、だんだんとコツを掴み、進みも良くなった。
「お守りの中にこれも入れておかなきゃね!」
「うん!」
お守りの中には波夢と探しに行った四葉のクローバーを押し花にし入れた。
四葉のクローバーは中々見つからない為に、幸運をもたらすと言われると聞き、家康の過去を知ってるが故、幸せになって欲しい、戦で命を落とすことの無いようにと精一杯の思いを込めて入れた。
「明日は政宗の手伝いするんだよね?私も手伝うから、一緒に家康の誕生日の宴の為に良いもの作ろうね!」
「うん!頑張らないと!」
家康からのたっての願いで、誕生日当日じゃなくて1日前倒しで誕生日の宴は行われることに。
そして、政宗にお願いして宴の料理の手伝いをすることにした。
お祝いの料理も自分で少しは作りたいと頼み、刺繍の合間をみて政宗にこのひと月料理のイロハも教えて貰い一品だけ自分で作る事になった。