第19章 ~淡き恋心とFaint memory~【徳川家康生誕祭】
それから一刻後、安土城を出て政宗、波夢、歌恋の3人は市を歩いていた。
年の瀬と正月前と言うことで市は人でごった返しながらも、普段はあまり来ないような小物を扱う店や、正月飾り用の店、正月用の食材などもあり、歌恋は目移りするばかりだった。
「わぁーすごい人だし、お店が沢山!!」
「はは、歌恋は本当に箱入り娘なんだな。」
「信長様にとってはそれだけ大事何だよ。」
「ねぇ、この綺麗な石は何?」
手に取ったのは家康の瞳に似た翡翠の石だった。
「お嬢ちゃん、これは翡翠という石だよ。簪や耳飾りや家具の装飾に使えない大きさだから、こうやって丸くして紐を通したりして売ってるんだよ。」
「へぇー、すごい……綺麗。(家康の瞳に似てる。)」
(でもちょっと高い……、お兄様に貰ったお小遣いじゃちょっと足りない……。)
そんな事を思ってると、政宗の声が後ろからし、その後の言葉に驚きを隠せなかった。
「おっちゃん、これもらってもいいか?」
「まいどありー!」
店の店主から政宗がその石を貰い、そのまま歌恋の手にわたされた。
『ほいよ。』
「えっ?なんで……?」
「もちろんタダじゃないからな。正月の宴の手伝いをしてもらう。」
「うん!がんばる!ありがとう!政宗!」
「よかったね、歌恋ちゃん。」
その後、波夢のアドバイスと閃?でお守りを作り、その石を飾りに付けることに。
家康が好きそうな辛子色のシンプルな生地に、家紋を刺繍する事も決まり、翌日から猛特訓が始まった……。