第19章 ~淡き恋心とFaint memory~【徳川家康生誕祭】
家康の誕生日のひと月前のこと。
紆余曲折あり2人は恋仲として現在にいたり、いわゆる付き合って初めての家康の誕生日が一月後にせまっていた。
「んー何がいいかな……?」
今まで恋人がいなかった歌恋には恋人である家康の誕生日のおくりもの
について相談するため、波夢の部屋を訪れていた。
義姉でもあり、親友のように接してくれる波夢には1番に家康との関係を話した。
そしたら自分の事のように喜んでくれ、応援してくれている。
ただ、兄でもある信長は過保護極まりない歌恋の扱いには歌恋自身も悩ませていた。
「波夢ちゃん、どうしたらいいかな?」
本当は二人きりでゆっくり過ごしたい……、でもそれは信長が許しを出さないことはわかり切っていた。
だいぶ最近はマシになったが、正直に家康との事を話した時には「ほう……そうか、よかったな。」と言っただけ。
その癖、家康の御殿に泊まりに行きたいと言ったら猛反対。
嫁入り前の娘が男の部屋に泊まり行くなと言語道断と……
(自分は波夢ちゃんの事を散々自分の部屋に呼んでた癖に……)
そんな事を思いながら、何か自分で作ったものを挙げたいと思い、裁縫が上手な波夢の元を訪れ相談することに。
「んー、何がいいかな?」
「私、波夢ちゃんみたいにお裁縫上手じゃないし、でも少しでも私が自分で作ったものを挙げたいの。」
「そうだなぁ……、そしたら市を見に行かない?この後政宗の買い出しに付き合う事になってるの。」
「本当に?!行きたい!」
「じや、私から信長様に言っておくね。一刻くらいしたら部屋に迎えに行くね。」