第18章 貴方のトリコ
少しの沈黙が長く感じる。
「あんたが謝らないで。毎日一緒に寝てるのに気づかなったのは俺だから・・・」
「えっ・・・?」
「ここまでなるまで気づかなかったから・・・」
(そういう事・・・か・・・)
家康は私が体調崩したのに気づけなかった自分を責めていた。
「うぅん・・・私も気づかなかったから・・・家康のせいじゃないよ?」
信長様に、私が高熱を出して倒れた事、それに気づかなかった事についてかなりのお叱りを受けたらしいのを後で三成くんに聞いた。
「この所忙しくてあんたの事見れてなかった…」
あっ、そうか・・・この時代に来て私初めてこんなに体調崩したからびっくりしたのかな・・・
そんな事を思ったらおかしくなってふと笑ってしまった。
「何笑ってんの。」
「うぅん・・・だってあまりにも心配するからなんか・・・ふふっ」
「本気で心配したんだけど・・・?!」
「ごめんごめん・・・。でもありがとう。」
「少しは元気になったみたいだね。」
「うん。家康に逢えたからかな…」
まだ熱をもつ額に冷たい水で濡らし絞った手ぬぐいを載せ、布団を優しく掛け直す。