第18章 貴方のトリコ
「あれ・・・なんでここに・・・うっ!」
起き上がろうとした瞬間にズキン身体に痛みを感じた。
「おはよ。目が覚めた・・・?まだ寝てなきゃダメ。」
「い・・・え・・・やす?」
お針子の子が自分が倒れたと知らせてくれここへ運ばれたと。
「まだ・・・熱あるから。」
ズキンと痛む頭・・・そして思い通りに動かない身体。
布団で横になった状態でも、それでも家康が少し怒っているのはなんとなく察した。
ちょっと素っ気ない態度に、いつもよりトーンの低めの声。
痛む頭と身体・・・
横になったまま、私の隣で何か作業をしている家康の着物の端を掴んでみた。
「ごめん・・・」
「なんであんたが謝るの。」
「だって・・・」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
ほんの少し・・・
その少しの沈黙がとても長く感じた・・・