第16章 かぐや姫~家康Ver.
『かぐや姫は多くの男の人の中から、何度も会いたいと言ってきた5人の身分の高い
人と会う事にしました。』
穏やかな表情、優しい声、読んでいく姿・・・いつにも増して惹き込まれて行く。
そして月明かりに照らされて、髪がキラキラと光り、何かを纏っているかのように周りは月明かりの淡い黄金色の雰囲気に惹き込まれ、思わず家康は触れそうになる手を歌恋が振り向いたことでハッと戻した。
『どうしたの?家康。』
「なんでもない・・・。」
何事もなかったようにそっぽ向く家康。
(なんだったんだ・・・あれ・・・。どこかに行ってしまうようなあの雰囲気・・・。)
何故か隣にいるはずの歌恋の雰囲気に怖さすらも感じ、思わず確認したくなるも振り向き声をかけられたことで我に帰り素っ気なく返事をしてしまった。
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物語の読み聞かせはそのまま何事もなかったかのように進み・・・
『かぐや姫の噂は帝にも伝わり、帝までもがかぐや姫に会いたいとわざわざ出向いてくるのでした。』
『けれどもかぐや姫は一向に帝には会おうとしません。それでも帝は諦めきれずにかぐや姫に文を書き続けるのでした。』