第16章 かぐや姫~家康Ver.
【かぐや姫】
『昔ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日おじいさんは竹を切りに竹やぶの中へはいると、ある一本の竹が光り輝いていました。』
月明かりの元、縁側で隣同士で腰掛け二人きりの世界で物語の世界に引き込まれていく。
(歌恋の声いつもより柔らかいな・・・)
そんなことを思いながら隣に座って、目を閉じ静かに聞く家康。
いつもよりトーンを抑え目にし、落ち着いた雰囲気で読み始める歌恋。
読む前に感じていた恥ずかしさはどこへやら。昔のことを思いだしながらそのまま話を続けた。
月明かの元、手元は絵本の文字を辿り、相手の心に届くように、家康が聞きやすいようにと思いを込めて読んでいった。
『・・・かぐや姫はあっという間に年頃の娘になり、とても美しい姫になりました。その美しさは瞬く間に国中に噂が広がり、多くの男の人がかぐや姫に一目会いたいと申し出てくるのでした。』
「なんかそれ歌恋に似てるね。」
『えっ?私?』
ふと問いかけると、目を見開いて驚いた顔で家康を見つめた。
「だって500年後から来て、あっという間に皆と打ち解けたんだから。」
『そうかな・・・?でも私かぐや姫みたいに美人じゃ無いよ!!』
(はぁー、この無自覚本当にどうにかならないのかな・・・。)
「まぁいいや、続き、聞かせて。」
『う、うん・・・』
(家康何か言いたそうだったけど大丈夫かな・・・?)
自分が周りからどんな風に見られてるかわかってない歌恋。
それについて盛大なため息をついた家康だが、本人の無自覚さに少々?だいぶ?呆れながらも、この先は埒が明かないと思い続きを読むことを催促した。