第16章 かぐや姫~家康Ver.
(ふふ、幸せだな~、家康とこうやって手を繋いで歩けるなんて!)
手を繋いだ反対側で鞄を持ってくれ、たわいない話をしながら帰り道を2人歩く・・・ただそれだけで嬉しい気持ちになった。
「今日はやけに機嫌いいけど?」
「だって、大好きな人と一緒に手を繋いで歩けるなんて幸せだなーって!」
手を繋いだまま自分の方に体を向けられ、髪と同じ栗毛色の瞳が夕焼けと同時に家康の姿を映し、家康は照れ隠しをするように隣で歩いた。
(本当はここでかっこいい言葉とか言えればいいんだけど・・・。夕焼けに映える歌恋がとてつもなく綺麗だって・・・)
そんなことを心の中で思いながらも、可愛いくてたまらない愛しい恋人との帰り道を一歩一歩幸せを噛み締めながら歩いた。
―夕餉後、御殿にて。
「所で今日は何の物語を読んでたの?」
「今日はかぐや姫。」
「かぐや姫?」
「あっ、竹取物語って言った方がわかりやすいのかな?家康は知ってる?」
「聞いたことはある。」
読み聞かせの帰りに一緒に持って帰った鞄の中から冊子状になり、所々挿絵が加えられたそれを手に取り見せた。
「これ、歌恋が絵を描いたの?」
「うん。おおきい子は文字だけでも読めるけど、小さい子は絵があった方が読みやすいから。」
「へぇ。」
家康がパラパラとその本をめくると、読みやすいように漢字にはカナがふられ、絵も入りこの時代には見た事の無い形になっていて見入っていた。