第16章 かぐや姫~家康Ver.
ある日のこと。
「歌恋様、さようなら!」
『うん、またね!』
「またお話聞かせてね!」
「歌恋様~今度はもっと男がかっこいいお話がいいな!」
『分かった、今度はもっとかっこいいお話探してくるね!』
「ねえ、歌恋様、このお話借りてもいい?」
まだ7歳前くらいの女の子が1冊の本を大事そうに抱えて聞いてきた。
『もちろん!その話気に入った?』
「うん!ありがとう!」
その女の子は家族に読んでもらうと言って、持ち帰る時に顔がパァっと明るくなり、目線を合わせて頭を撫でると嬉しそうにして部屋をあとにした。
「今日も子ども達が輝いていたな〜。」
安土城城下の織田軍が管理するとある小さな屋敷。
城下に住む子ども達が何人も出てきた。
「ふぅー、今日もたくさんの子ども達が来てくれて嬉しかったな!」
戦国時代にタイムスリップする前は保育士として働いていた歌恋。
信長の計らいで針子の仕事を与えて貰い、手伝っていた際に針子の子ども達に本の読み聞かせをした事が評判となり、城下にある織田軍が管理する小さな屋敷で時々物語の読み聞かせをする事になり、今日はその日だった。
単なる読み聞かせでは無く、信長には意図があった。
読み書きが一般の町民の子どもの時からできるようになれば、知識が付き町が栄え強いては国が栄える。
ただ単に教えるだけでは広まらない、そう考えた信長がまずは歌恋の人柄も含めて、読み聞かせで子ども達が引き寄せられてる姿等を鑑みて行う事を決めたのだった。