第15章 【KAGUYAHIME~かぐや姫~】
『中々の策士だな。かぐや姫は。それに、偽りの物を送ったところで心は伝わらん。』
「そうですね・・・。」
いつの間にかソファに座りながらも身を乗り出すような姿勢で聞き入っていたランスロット。歌恋は窓から見える月を眺め、再び本へと視線を落とした。
「その頃、都の帝がかぐや姫の元を訪れました。そして、かぐや姫にいいました。
『私の后になってくれないか』と。
かぐや姫に帝は何度も手紙を書き、帝の真摯な姿勢に少し心が揺れるのでした。」
(私の読んでたお話とここは少し違う・・・)
『どうした、続きを早く読んでくれ。』
「あっ、はい。えっと・・・」
ランスロットの言葉で我に返り、読んでいた場所を指先で追い、続きを読み始めた。
「しかし、かぐや姫は帝にいいました。『私は貴方の気持ちにお応えすることはできません・・・』と。その後も帝は諦めずに手紙を出し、時間を作ってはかぐや姫に会いに行くように。」
「そして月日は流れ、夏になりかぐや姫は、浮かない顔をし、月を見ては泣き出すようになっていました。おじいさんとおばあさんがかぐや姫の姿に心配になり、何故泣いているのかを聞いてみました。」
―私はこの国の者ではありません、月の国から来たもので、次の満月に迎えが来ることになっているのです。ー
『まるで歌恋、お前のようだな。』
ランスロットがふと柔らかい笑を浮かべてアリスを見つめていった。
「っ・・・/////」
(ランスロット様に笑顔で言われるとドキッとする・・・。)
『続きを読んでくれるか。』
「はい。」
少し火照りかけた表情を見せないように、本へと目線を落とし続きを読み始めた。