第15章 【KAGUYAHIME~かぐや姫~】
【KAGUYAHIME~かぐや姫~】
「昔、子どもの居ない老夫婦がひっそりと暮らしていました。
ある時、お爺さんが竹を切りにいつものように出かけると、1つの竹が輝かしい光りを放っていました。その竹からは可愛らしい女の赤ちゃんがおり、老夫婦はその女の子を『かぐや姫』と名付けました。」
そうして始まった物語。
月夜に照らされた歌恋の姿は、その物語に出てくるそのかぐや姫のように美しく、まるでその場所だけ空間が違うようだった。
(美しいな・・・、子が生まれたらきっとこうして本を読んであげるのだろうか・・・)
ランスロットはそんな事を思いながらも物語の続きを心地よく聞いていた。
「・・・かぐや姫の美しさに何人もの男の人が、一目かぐや姫に会いたいと申し込んでくるのでした。
でも、かぐや姫は誰のにも会うことはしませんでした。その噂は都に住む帝にも伝わるのでした。」
(まるで歌恋・・・お前のことのようだな。)
みなに愛され、一瞬にして周りを明るく照らし、太陽のような明るさと月明かりの優しさを兼ね合わせているお前のようだ・・・
我が赤の軍の幹部達が歌恋が来たことで
今までに無い表情を見せ、歌恋のおかげでこのクレイドルが平和になったといっても過言ではないからな・・・。
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「かぐや姫の事を諦めきれない5人の身分の高い男の人に、かぐや姫は仕方なく会うことにしました。かぐや姫は5人に『私の頼んだものを手に入れ持ってくることが出来れば、その方の妻となりましょう』と。」
『ほう、それはなんだ?』
「えっ・・・はい・・・。」
(珍しいな。ランスロット様が興味を示してくれるなんて。そんなに真剣に聞いてくださってるんだ・・・!)
歌恋は少し心が浮き立ちながらも、物語の続きを読み始めた。
「それはどれも手に入れるのは大変難しく、かぐや姫は5人が諦めてくれるのを期待していたのです。結局、無理難題を突きつけられた5人はかぐや姫の頼んだものを手に入れる事はできず、かぐや姫は誰の元へも行くことはありませんでした。」