第14章 秀吉birthday*世話焼きは世話が焼ける?
その夜のこと。とりあえず家康に今日はちゃんと御殿に帰って秀吉と話をした方がいいと諭され、茶屋から秀吉の御殿まで送ってもらい、帰るも当の秀吉の姿は無かった。
「ただいま・・・」
(あれ?秀吉さん居ないの?)
秀吉の部屋に戻るもまだ秀吉は戻っておらず、そのあとすぐに家臣の人から『今日は城に泊まる事になった』とだけ言付けをされ歌恋は一言『わかりました・・・。』といい、その日は秀吉の部屋では無く、自分の部屋で寝る事にした。
湯浴みを済ませ、寝る準備をしようとしてるとにわかに隣の部屋から音がすると思い覗きに行くと・・・
「えっ、これ昼間に女の人達が秀吉さんに渡してたもの・・・」
現代みたいな過剰包装では無いためある程度のものがどういうものか分かってしまい、その中の一つに秀吉に作るつもりで居た濃い深緑色の生地の羽織があった。
「これ、秀吉さんに作ろうと思って今日買いに行ったらもう無かった生地・・・」
お針子の仕事で貯めたお金だけでは買えない高価なものの為、信長に頼んでバイトをしてようやく買いに行ったが、10日程前には売れて無くなってしまったものだった。
「あぁあ、もうどうしてこうなんだろう…。折角信長様にお願いしてバイトさせて貰ってお金貯まったから買いに行こうと思ったのに無くて・・・」
涙がそこから一気に溢れ、作ろうと思ってたものは他の人の手によって秀吉の元にあり、あげく、その人は女の人から人気で、会いたい時に会えないもどかしいさでおかしくなりそうだった。