第14章 秀吉birthday*世話焼きは世話が焼ける?
逢瀬の約束をしてからしばらくして、信長に頼んで世話役の仕事を増やして貰いお小遣い稼ぎをしていた歌恋。
それは紛れもなく秀吉にとあるものでプレゼントをしたかったから。だが、お針子の仕事だけではどうしても買えない高価なもの。
綺麗な深緑色の生地の反物で羽織を作りたかった。
いつも明るめの緑を好んで着ているが、その色は秀吉の落ち着いた雰囲気にぴったりだと思い、悩んだ結果信長に仕事を増やして貰いお小遣い稼ぎをする事にした。
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「ほう、そのくらい欲しいものとは珍しいな。」
普段あまり欲しがったりわがままを言わない歌恋。ましてや信長に頼み事など滅多に無いこと。
「はい。どうしてもそれで作りたいものがあるんです。だけどお針子の仕事だけではどうしても手が出せず・・・」
「良いだろう。明日から朝イチで天主へ来い。仕事を回してやる。」
「ありがとうございます!」
「5日間だけお針子の仕事ではなく俺の仕事を頼まれればそれなりに出してやる。」
(それだけ秀吉の為に尽くしたいと思うのか・・・、幸せなものだなあれも。)
そうして次の日から5日間信長の仕事の手伝いをする事に。勿論それは秀吉には内緒で・・・
(よし、明日から信長様のお仕事の手伝い頑張ってあの反物を買いに行かなきゃ!)
張り切って次の日から手伝いをし、朝早くから時には夜少し遅くまで書類の整理、仕事なのか・・・と疑うような晩酌の相手などもしていたが秀吉の為にと思えばそれは苦では無かった。