第3章 短冊に込めた願い~秀吉編~
「どうしよう…私が…ダメだから…秀吉…さんにっ」
泣きじゃくりながら安土城の自分の部屋へと籠る…。
その時ちょうど安土城の女中頭の“たえさん”が通りかかる。
「歌恋様?どうなさったんです?そんな目を腫らすまで泣くなんて…」
たえさんは秀吉との結婚の時も相談に乗ってくれ安土城のお母さんのような人。
安土城に戻ってくると気にかけてくれていた。
「実は…ひっく、」
事の顛末をたえさんに話す。
「それは・・・本当ですか?そんな事、秀吉様は望まないと思うのですが…」
たえさんが背中を優しく撫でてくれながら慰めてくれる。
たえさんが歌恋が落ち着いた頃に、この乱世の時代の大名や武将達の夫婦事情を教えてくれた。
それによると、名のある大名や武将達は本妻の他にお妾さんを何人も取るのが多い事や、祝言を挙げるまでにそんなに日がない時もあると教えてくれた。
そして、お世継ぎを早く産む事が正妻として一番望まれる事も…