第3章 短冊に込めた願い~秀吉編~
家臣達が部屋を出ていった後に、ふと廊下の床に目をやると見たことのある着物の柄で作られたものが落ちていた。
「これは…」
中を見ると愛しい妻からの文が入っていた。
『いつも政務お疲れ様です。文を入れて持ち歩ける入れ物を、秀吉さんの誕生日に贈った着物の残りで作りました。私のは新しく仕立てた浴衣で作りました。次に御殿に帰ってきた時に見せますね。
早く秀吉さんに会えるのを楽しみに待っています。
歌恋より。』
「まずいな・・・さっきのやり取り聞かれたかもしれないな…」
どこまで聞いたかはわからないが、これが落ちていたと言うことはきっと最後までは聞いていないかもしれない…。
一刻も早く妻の元へと向かいたいが、その時…
「秀吉様、大名の方がお見えでございます。」
(何て間が悪いんだ…)
「分かった…すぐに行く」
秀吉は気がかりでならなかったが、今日は信長が領土の視察で城に居なかったため、どうしても行かなければならなかった…