第3章 短冊に込めた願い~秀吉編~
安土に来てから二年…。
お針子の仕事の合間を縫って秀吉が読み書きを教えてくれるようになった事がきっかけで二人は惹かれ合い、晴れて夫婦となることが出来た。
「良し!出来た!」
秀吉の誕生日に作って仕立てた着物の端切れを使って、文を持ち歩けるような現代で言うブックカバーのような形の物を作った。
それには愛する夫を気遣う文も入れて…。
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3日前の事。
秀吉が久しぶりに御殿に戻ってきて、会えない時に三成に託した文を風呂敷のような布に包んで持ち歩いてると話していた。
「お前からの文が届くと、どんなに忙しくてもやる気が出るのは何でだろうな…。」
優しい表情でやり取りした文を見つめる
「もう少ししたら落ち着くと思うから、そしたら俺にたくさんお前を甘やかさせろよ?」
「うん!」
忙しい合間を縫って会いに来てくれ、甘い言葉を言って不安を拭おうとしてくれる優しさに自然と笑が零れた…。
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「秀吉さん喜んでくれるかな?ふふっ」
書いた文と、文入れを胸元にしまい、久しぶりに安土城へと足を運んでいた。
「おっ!歌恋じゃないか!」
「政宗!久しぶりだね!」
「おう、そうだな…祝言の後に1度会って以来か?」
「そうだね!もうそんな経ってたんだね!」
他愛も無い話をしながら愛する人の元へと向かう足取りは軽かった。