第3章 Destiny3
月日は流れ、シャンクスがこの場所を拠点にする日々も終わりを迎えた。
イナギは見送りに赤髪海賊団が出航準備をする港に来ていた。
「イナギ…」
『もう行っちゃうのね…私、シャンクスの顔を見たらすぐにまた旅に出るつもりだったのに、楽しくてホントあっという間だったわ!』
「俺もだ!イナギまた…会えるよな?」
『もちろん!また今より成長したシャンクスを見たいしね♪風も私も気まぐれだけど、お互い海にいるんだもの。必ず…』
そう微笑み返すと、シャンクスも笑ってくれた。
すると、ルフィがこちらに向かって走ってくるのが見えた。
「シャンクス!!おれいつか仲間を集めて!世界一の財宝を見つけて!海賊王になってやる!!」
「ルフィ……」
「この帽子をお前に預ける…いつかきっと返しに来い…」
少し離れて二人の絆を見守る。
『……FATE』
そう囁くような声が聞こえたかと思うと、二人が振り返った時には既にイナギの姿は無かった。
「全く…いつも急だなイナギは…」
「シャンクス…おれもまたイナギに会えるかな…」
「あぁ…イナギから伝言だ『きっとまた何処かで、必ず会いましょう。ルフィ船長』だとよ」
ニカッと笑い、先程イナギに
もしルフィが来なかったら伝えて欲しいと頼まれていた言葉を伝える。
「あいつは約束は必ず守るんだ。だから、必ずまた会えるさ」
「うん。イナギがそう言ったんならおれもそう思う…!」
それから再びシャンクスとルフィは別れの挨拶をして、赤髪海賊団は航海に向けて旅立って行った。
突然姿を消したイナギはいつも来ていた丘の上に居た。
シャンクス…本当は、私を一緒に連れて行きたかったのよね…
言わなくてもわかる、シャンクスの表情がそれを物語っている。
でも、イナギは一緒には行けない…
シャンクスと海で偶然出会うより前・・・
そこで出会った少年がずっと気になっているのだ。
その日いつもの丘でいつものように海を眺めながら、あの時の少年の事を思う。
でもいつも眺める海と少し違った…水平線の遥か彼方に消えていく黒い影が見えたから…
『彼らに神と海の祝福を…』
囁いた言葉は穏やかな風となり、丘の木々たちを揺らしていた。