第5章 Destiny5
「トラファルガー・ロー。何故マスターを連れて行く…?」
「俺はこいつに昔助けられた。お前たちはその話は知っているんだろ?」
彼らは何か知っている。そう感じたローは確信めいて聞いた。
『えぇ。彼らはあの出来事を全て知っているわ。彼らもあの場所に居たから…』
赤く、赤く染まってしまった白い街・・・
地面に転がる数多の人間・・・
過去の光景が脳裏に浮かんだのか、ローは顔を少し歪めた。
『トラファルガー。彼はその事は…?』
イナギは一瞬だけ、ローの隣に座るペンギンを見遣ると表情を戻したローに問う。
「俺の故郷の場所と、病の事だけだ…」
『そう…詳しくは本人が話すべきだと思うから、私は何も言わないわ。』
物事にはタイミングがある。
ペンギンの聞く意思と、ローの話す意思が定まらないとそのタイミングにはならないだろう。
「あぁ…」
『でも、今話すべきはそこじゃないわ。ペンギン、あなたの意見は?』
「…?」
突然名前を呼ばれた本人は、イナギが何故自分に話を振ってくるのだと言いたげだ。
「ペンギン、言いたい事があるなら言え」
言葉は何か文句があるのかという感じだが、口調は彼のクルーへの優しさがチラついていた。
一瞬、躊躇ったがキャプテンがこの様子なら言った方がいいのだろう・・・
渋々重い口を開いた。
「俺は……」
「俺は…得体の知れない人物を船に乗せるのは反対です。キャプテンの昔の事は詳しくは知りませんが、他のクルーのことも考えてやってください。」
船長を止めるのも右腕のような自分の勤めだ。例え自分の意見が通らなくても・・・
「そうか…」
「はい。これが俺の意見です。あとはキャプテンの決定に従います。」