第1章 さようなら、マフィア
便箋と封筒を眺めてからどうやって織田作を驚かしてやろうか
考えてからもう一度部屋へ戻る。
封筒だけ机に置いて、
便箋は布団の中に入れた。
少し考えてから、織田作に唇を落とす。
「ばいばい、織田作。」
それだけ云うと部屋を出て安吾に連絡する。
「もしもし、安吾?」
「何でしょうか、首領。」
少し……ていうか緊張しているのが
電話越しに感じる。
「ちょっと……会って話がしたいのだけれど。」
「……分かり、ました。
何処へ行けばいいでしょうか。」
「異能特務課」
そう言い放つと息をのむのが分かった。
「何の……話でしょうか。」
「別に隠さなくていいよ。」
と……云いながらも安吾が今何処にいるのか確認する。
普通に部屋か。
思いの外すぐそこだ。
歩きながら通話を続ける。
「隠すもなにも……ありませんが。」
「安吾はマフィアとミミックに潜伏している異能特務課のスパイだ。
それはもう分かっている。私だけね。」
ガチャりと扉を開けると真っ青の安吾がいた。
「やぁ。安吾。
取引に来たんだ。」
「…………何時から……分かっていたんですか。」
「ここ最近さ。
説明したいのだけれどきっと分かりづらいよ、それでもいい?」
「……はい。」
云っておきながら自分で説明がめんどくさいと思ってしまう。
「……まず、一年後にミミックが来てマフィアと抗争になる。
その時のゴタゴタで……織田作が死んでしまう。
だけど私は織田作の命を助けるために時間を巻き戻して頑張っていた。
だけど……今回で終わりだ。
ともかく、織田作は……私が“表“側に来るとこを望んでいる。
だから……交渉だ、安吾。
私は君がスパイだと云うことを誰にも云わない。
だから、私の経歴を洗浄してほしい。」
「………………。」
超険しい顔だけど大丈夫かな?
と呑気に考えていると。
「……分かりました。
特務課はその交渉を引き受けます。」
「本当に?」
「えぇ。今から連絡をします。待っていてください。」
「了解!」
そういうと連絡をとる安吾。
「連絡が取れました、特務課へ行きましょう。」
「うん、宜しく!」
こうして話はさっきの車を下りる所へ戻る。