第2章 探偵と
の勘違いから数十分後___
何故か、綾辻の事務所ではもたなされていた。
「あのぉ・・・私なんでこんな深夜に炒飯作ってもらってんすか。」
目の前に山盛りの炒飯と餃子、紅茶という不思議な組み合わせを見つめながらはおずおずと云った。
しかし、綾辻は全く気にすることなくそこに自分の飲む珈琲を追加した。
「特に理由はない。ただの興味だと云っただろう。」
「・・ぅーん」
微妙な表情を浮かべながら首を傾げ紅茶のカップをとったは気にすることなく紅茶を飲む。
「!」
と、同時に綾辻が目を見開き驚いた表情を出す。
それを見たはカップを口から離し云う。
「え・・・何?」
「・・・・・普通、毒か何か入っているか確認するんじゃないか?」
はそれに答えようと口を開く。
その質問を投げかけながら、綾辻は自らもその答えを探していた。
考えられる可能性は、
≪毒も何も考えない阿保≫
≪耐性がついているから別に飲んでも平気≫
そして________
「え?いや・・わざわざご飯にする意味ないし、毒だったさっき殺せばよかったし、襲いたいんだったら、こんなに作る必要ないでしょ?特殊な趣味をお持ちでない限り、ありえなさそうだったなーって思って。」
≪俺が毒を仕込む可能性はないと考えた。≫
想像と同じ返答をされ、綾辻は少し反省した。
「っていうかさ、お互い名乗ってないのによくこんなに作ってくれたね?」
「・・・・あぁ」
名乗ってもいなかったか・・と再び反省する綾辻。
「ポートマフィア、下級構成員___太宰雪。」
少し、表情を陰らせて云う。
「探偵の、綾辻行人だ。」
綾辻は、知らなかった。
目の前にいる少女が、マフィアの首領だなんて。
綾辻は、知らなかった。
この少女が、今表情を陰らせたのは、自分の名前や身分を偽っているために見せたというものを。
綾辻は、気づいていなかった。
この少女に向けている感情が正しくはないことに。
綾辻は、知る由もなかった。
この後、好奇心でこの少女のことを調べ、少女の本名や、本当の役職を知り、激昂し、そして。
マフィアと特務課の全面衝突させることを。