第1章 さようなら、マフィア
涙目になりながらは頷いた。
「……分かった。それが織田作の望みなら……正直嫌だけど……
“表“側に……行くよ。」
「ありがとう。」
頭を撫でてやっても暗い表情は変わらない。
寧ろどんどん俯いてしまっている。
「さて、そろそろ寝るか。」
「……うん。」
「元気を出してくれないか?」
「無理。」
「……どうすれば出る?」
するとは笑って顔を上げた。
なんとなく、嫌な予感がした。
「ん……?」
朝目が覚めると昨日までいたがいなくなっていた。
机の上には一つの封筒がおいてあった。
動くと正直辛いがまぁ今日も仕事だし、仕方ない。
封筒を手にとり開けた。
中には何も入っていない。
「そんなはずは無いだろう……。」
思わず呟いてしまう。
あいつのことだ、何かしら仕掛けがあるに違いない。
封筒をひっくり返したり、光にあててすかしてみたり。
でも、何も見つからない。
仕方が無いので部屋をすみずみまで探してみる。
するとなんと、布団のなかに二つに折られた便箋があったのだ!
起きて直ぐに封筒を見つけてしまったので便箋の事が見えていなかった。
あいつは見つけやすいようにおいてくれたのだろうが……
いや、あいつだからな。
わざと封筒の罠に引っ掛かるようにしたに違いない。
笑いながら便箋を開ける。
『今までありがとう。』
まだ幼さが少し残っているような字でそうかかれていた。
書いている字は定番かもしれないが凄い嬉しかった。
「それは俺もだ。」
ふっと笑うとそう云って便箋を閉じた。