• テキストサイズ

【A3!】一輪の薔薇を君に【R18】

第4章 お狐さんと



そう言って私は一足先に賽銭箱の方へ向かう。すると急に空気にもやがかかり周りの景色が霞んでいく。さっきまで神社を囲んでいた緑の木々はなくなり、白いもやに鳥居と本殿だけが浮かぶ。そして後ろを振り返ってもそこに誉さんの姿はなかった。

「誉さん…?」

必死に誉さんを探しに鳥居まで戻るが誉さんはいない。境内へ戻ろうと後ろを振り返るとそこには和装の男性が立っていた。今の時代には珍しく荘厳な白い着物を着ていて頭には狐のお面をつけている。さらに驚くことにその男性は目元に赤い化粧を施しているが、背丈も顔もまさに誉さんと瓜二つなのだ。

「あの…誉さんですか…?」
「よく来たな人間よ、歓迎するぞ」
「…!」

声も誉さんとそっくりだったが口調はまるで違い、この人は誉さんではないと確信する。男性はこちらへ近付いてくるが足がすくんで動けない。すると腕を取られ腰を引き寄せられる。

「ようこそ我が社(やしろ)へ。ここは私の領域、私はここの神だ」
「か…神様…?」
「そうだ、私はお前が気に入った。私の妻となるがよい」
「ええっ!?」

誉さんの顔と声で誉さんらしくないいきなりの強引なプロポーズに顔が赤くなる、じゃなくて!

/ 29ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp